キッチンメーカーやインテリアのトレンド
全般的に、今年は自然を意識した、自然素材、ピュアなものがマテリアルに選ばれています。キッチンも白ではなくて、木材や石、ガラス、コパーや真鍮、ステンレスなどのメタル。そして、必ずと言っていいほど、観葉植物や青々としたハーブがインテリアの一部として、置かれています。サステナビリティやエコが唱えられてから久しい現代、キッチン・デザインの世界にも影響がいよいよと見え始めましたね。
イタリアのブランド、Boffiはブレア地区に1軒屋と隣接する建物をつなげた広いショールームがあります。ウッドやグレートーンの落ち着いたキッチン・インテリアは洗練さと気品を感じるもの。そして、アンティークの器やキッチン雑貨を並べることで、現実に近い雰囲気作りも素晴らしかった。
bulthaupはブレア地区の教会とショールームの両方で展示を行いました。このメーカーの好きな点は、表面はすっきりとしているのですが、引き出しや棚の中の収納システムが合理的で細かく考えられていることです。スライディング・ドアや大きな引き出しの開け閉めのエレガントな動きも素敵ですね。
Arclieaは1925年にヴェネト州カルドーニョで設立された昨年で90周年を迎えた歴史あるメーカーです。機能的なモジュラー・キッチン家具を1960年代から手がけています。クッキング・スクールなどプロフェッショナル仕様とホーム・キッチンは今ではワールドワイドに高い評価を受けています。今年はウッドやメタルを使い、すっきりとしたラインを発表していました。レモンの木がインテリアにマッチしていたのが印象的でした。
私の感じたミラノ・デザイン・ウィーク 2016。
初めて訪れたミラノ・サローネは本会場のFieraも街中の展示も思った以上のスケールで毎日、新鮮な驚きの連続でした。連日、足が棒になるほど歩きましたが、共通の興味を持った人たちがあれだけ大勢、一堂に会すというのはやはり刺激的です。快適で意味のある生活、ストーリーのある家具、トリエンナーレでの「Neo Preistoria」をはじめ、社会を考える教訓のような展示の数々を見ることができて、充実していました。いろいろな場面でイタリア人はプレゼンテーションが上手だなーと感じました。彼らには遊びがある。そして、新緑の1年で一番素敵な季節にミラノを訪れた幸せ。
ビルトイン・キッチンの世界は思った以上に進化していました。1926年、女性の台所仕事を合理的に、楽にしようと女性建築家マルガレーテ・シュッテ=リホツキーが開発して作ったフランクフルター・キッチンの頃から世の中は随分と変わって、技術も驚くほど進歩しています。キッチンは今、もう女性だけのものだけでもなく、単体でもなく、生活空間と連結しています。ヨーロッパの新しい住まいでは、多くのファミリーが一番時間を費やす、大切な空間という概念に変わりました。だから、キッチンもその空間のインテリア一部となっている。
そう思うと、ミーレは50年代から時代に合わせたエレガントなキッチン・デザインのラインを続けてきている長距離ランナーです。キッチン家具メーカーのトレンドを考慮しながら、ミーレはキッチンの中心機能の改良を続けながら、ずっと製品化している。キッチン家具メーカーはミーレの品質とデザインを信頼しているから自分たちのブースやショールームに積極的に取り入れている。ミラノで改めて、ミーレの底力を知った気がします。