クラフツマンシップ
熟練の技を受け継ぐだけではダメ
時代に求められるには変化や発想が不可欠
創業以来120年以上、常により良い製品を生み出すため挑戦し続けてきたミーレ。「どんな画期的な技術革新もゴールではない」という考えから、細部に至るまで職人の技術を施し、少しずつブラッシュアップを重ねてきました。
料理の世界においても、熟練の技はリスペクトされるもの。けれど、田村さんは「技術や知識があることは当たり前。大切なのは、それを顧客のためにどうアウトプットできるか。それができる人が、正しい職人だと思う」と語ります。
その言葉から感じられるのは、田村さんの仕事への厳しさ。「特に職人気質だと技術を磨くことだけに邁進しがち。でも技術がきちんと評価されるためには、技術以外のことを考えるべきなんです。チーズケーキで言うならば、おいしく作れることは大前提として、その表現や顧客とのコミュニケーションの方法に至るまでトータルに考えるべき。それでこそ、顧客のもとへ届けることができるから」
サステナビリティ
考え方や目的をシェアし、引き継ぐことで
次世代へ残していくことができる
ミーレ製品は、購入時と変わらないパワーのまま、長期で使用できるサステナブルな設計が特徴です。
対して飲食業界では、過酷な勤務状況によって体を壊したり、精神的に辛くて辞めてしまったりという人も多く、持続可能な働き方が課題となっています。
田村さんも、修行時代からハードな労働環境を変えられないか、考え続けてきたのだとか。そして「努力しただけの成果を感じたい。家族と過ごす時間も大切にしたい」という想いから、33歳のときに独立して起業。おいしいものを作り続け、お客様に喜んでもらい続けるために、製造はスタッフにまかせ、自身はオペレーションの構築や経営を担当することに。
チーズケーキの製造は、計量や職人に頼る工程を省くなど、徹底的に効率化されているそう。それによりいつもベストな仕上がりを維持するだけでなく、飲食業界では画期的な週5日・8時間労働を実現。
「1人の力には限界がありますが、人を育てたり組織を作ったりすることで、本来やりたいことを続けていける、という可能性もある。その道のプロとして仕事をし続けるためには、業界の環境や体制についても考え、それを次世代へ伝えていくことが大切だと思っています」
パフォーマンス
自らを過信しすぎず、
常にフラットな状態でいられる努力を
Mr. CHEESECAKEの代表として創造性と効率性を常に高く発揮している田村さん。そのために心がけていることはあるのでしょうか。「なによりも大切な体調管理ができているのは、奥さんの食事のおかげですね。もともと腸が弱かったのですが、今は体調を崩しにくくなりました」
加えて、定期的に体を動かすように意識しているとか。
「よく歩くようにしています。高校生まで野球に打ち込んでいたので、体を動かしているほうが頭が正常に動くんですよね。ずっと頭を働かせている状態だと、どうしても疲れやすくなってしまう。だけど歩いていると、脳内がクリアになっていろいろなアイデアが浮かんでくるんです。自分を調えるメディテーションに近いかも」
ミーレが開発期間の3分の1を性能試験に費やしているのも、田村さんと同様に、何年先までも完璧なパフォーマンスを届けるためなのです。
ミーレについて
家庭用なのにプロユースの機能に驚き
いつかは自宅にミーレのビルトインオーブンを
いつか自宅にミーレのオーブンと食器洗い機を導入したい、という田村さん。以前はミーレのオーブンで焼き上げるチーズケーキレシピを考案し、ミーレでワークショップを開催したことも。
「初めて使ったとき、家庭用なのに、プロユースとも言える機能性に驚きました。いい意味で、家庭用としてアジャストしすぎていない感じが信頼できる。例えばコンパクトなサイズにすれば、もっと汎用的になって売れるかもしれない。だけど今のサイズには、自分たちが誇る技術を提供するための意味がきっとあるんですよね。そこにミーレの意志を感じて惹かれています」
「意志がある」ということは、田村さんにとって、とても大切なこと。どんな小さなことでも、たとえ失敗したとしても、人からどう思われようとも、そこに意志があれば格好いい。それが田村さんの美学であり、意志のあるブランド=ミーレを選びたいという気持ちに繋がっています。
Mr. CHEESECAKE代表田村浩二さん
Mr. CHEESECAKE代表田村浩二さん
1985年、神奈川県生まれ。「Restaurant FEU」にてキャリアをスタートし、「Edition Koji Shimomura」「L‘AS」を経て渡仏。ミシュラン三ツ星レストランで修業を重ね、帰国後にミシュランの星を獲得した「TIRPSE」のシェフに就任。『ゴ・エ・ミヨ ジャポン』が設ける「期待の若手シェフ賞」を弱冠32歳で受賞。
2018年に「Mr. CHEESECAKE」を創業。
現在は、複数の事業を手掛ける事業家として活動している。