洗濯家中村祐一さんがアトリエにいる様子
2021.06.22

中村祐一さんに学ぶ、 衣類を長く大切に着る「ケアする洗濯術」

豊富な知識と的確な助言で人気を集める、洗濯王子こと中村祐一さん。ミーレの「洗濯は衣類のケア」という思想に共鳴し、ご自身のアトリエでミーレのドラム式洗濯機と衣類乾燥機を活用しているのだとか。中村さん独自の洗濯への思いや、洗剤の選び方・お湯洗い・あえての部屋干しなど7つの洗濯術について教えていただきました。

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中村祐一さんのアトリエにあるミーレ洗濯機

家業を継ぐために
洗濯術を学び始めた

2018年、長野県伊那市に自邸兼洗濯アトリエを建てた中村祐一さん。洗濯を学ぶ場所としてアトリエで教室を開くほか、講演会やメディアへの出演など、幅広い活躍で洗濯の魅力を伝えます。

実家がクリーニング店を営んでいたことから、野球に熱中した学生時代もきれいなユニフォームやアイロンのかかったシャツが当たり前だったと中村さん。「いま思うととてもありがたいことですよね」と振り返ります。

高校卒業後は3代目として家業を継ぐことを決め、東京のクリーニング店で学び始めました。「汚れを取り除くことは、結果が目に見える楽しさと感謝される喜びがあります。学び始めるとどんどん熱中しました」

衣類をケアしてこそ洗濯
ミーレ洗濯機の思想に共鳴

中村祐一さんとアトリエ風景
中村祐一さんとアトリエ風景
汚れの取り除き方に迷う時は、それを得意とするクリーニング店を訪ねて技を学んだことも。けれど多くは、「汚れとの対話」というように衣服と汚れそのものを一つひとつ取り除くことで覚えていきました。やがて実家に戻った中村さんがインターネットを通じて学んだ技術を伝えていくと洗濯のアドバイスを求める声が増えていったと言います。「それだけ洗濯の面白さが知られていないんです。洗濯機に服を入れて終わりでは、衣類がもったいないですよね」

食と住はケアの方法が数多いのに、衣がおざなりになっていることに疑問を呈する中村さんは、「衣類をケアしてこそ洗濯」とミーレの思想に共鳴します。ここでは中村さんとともに、あらためて洗濯の魅力を探っていきましょう。

洗濯ふうから洗濯へ
洗濯のプロに学ぶ7つの洗濯術

「洗濯には誤解が多いと思うんです」と中村さんは切り出します。
「僕は水洗いや外干しを推奨していません。洗濯機と洗剤の説明はちぐはぐな部分も多く、衣類の洗濯表示と噛み合わないこともしばしば。その点、ミーレは自社で洗剤まで販売するので洗濯が一つながりになっていますね。用意されているコースにも一つひとつに哲学があり、意図があるんです。ただ汚れを落とすだけでは、洗濯ふうに止まります。衣類にダメージを与えずに洗い上げて、はじめて洗濯と言えるんです」こうした中村さんの思想は、ミーレの「トータルランドリーケア」と重なるもの。人の数だけ洗濯のスタイルがあっていいという中村さんに、洗濯の基礎を教えてもらいました。

洗剤と仕上げ剤が並んでいる様子

1素材・汚れに適した
洗剤を使う

中村さんのアトリエに並ぶ洗剤と仕上げ材は15種類。これはさまざまな素材と汚れに対応するためですが、さすがにそれを実践するのはハードルが高いことでしょう。中村さんに洗剤の選び方を尋ねると「普段着洗濯の基本は皮脂とタンパク質を落とすこと」と言います。洗濯用粉末洗剤、液体洗剤、ジェルボール洗剤、おしゃれ着用洗剤など、多種多様なタイプが揃う洗濯用洗剤ですが、白いシャツを真っ白に仕上げるなど洗浄力を重視する場合には中村さんのおすすめは粉末洗剤。
それを理解するには、洗剤にも汚れにも、酸性・中性・アルカリ性の性質があることを知る必要があります。

「汚れと洗剤は、相性が大切です。汚れの多くは酸性の皮脂汚れ。油脂はアルカリで溶けやすくなるため、洗濯時にしっかり汚れを落としたい場合にはアルカリ度が下がりにくい粉末洗剤が効果的です。酸とアルカリの中和で嫌な臭いも落ちやすくなります。」ただしウールやカシミア、シルクなどのデリケートな素材は中性洗剤で洗うことでダメージを抑えることも。中性のおしゃれ着用洗剤は洗浄力に劣るものの衣類へのダメージを抑える素材配合が行われています。

汚れや素材に合わせ適切な洗剤で汚れを落とすこと。それが洗濯のスタートラインです。

2お湯洗いで
洗濯力が高まる

「日本の洗濯は常温の水で洗うことが前提にあるため、洗剤は界面活性剤の濃度や酵素などの助剤の組み合わせが非常に複雑になっています。ただ、シンプルにお湯で洗濯することで洗浄力は飛躍的に向上します。衣替え時に洗ってから収納したはずなのに久しぶりに取り出すと黄ばみがあるといった問題や、生乾きの悪臭は汚れや洗剤がしっかりと落ちていないことが主たる原因。これらも湯を使って洗い、すすぎをしっかりすれば解決される問題です」

3ドラム式洗濯機と
二槽式を併用

中村さんがミーレを導入したのは2013年のこと。機能が合理的で思い通りに使いこなせることが決め手だったといいます。
一方、ミーレの洗濯機と合わせて使うのが懐かしの二槽式洗濯機。マニュアル操作ができることから、自分好みの洗濯をしやすく、衣類に合わせて水量、洗い方をカスタムして一着ずつ洗う際などを中心に活用しているとか。洗濯のプロフェッショナルは、新旧の洗濯機でランドリーケアを極めます。

中村祐一さんが洗濯物をしまう様子

4もっと洗濯が楽しい空間を

自宅を兼ねた洗濯アトリエは、中村さん自身が日常的に洗濯をする場所でもあります。建設時には洗濯における効率のよい動線を熟考したとか。「脱ぐ、洗う、干す、畳む、仕上げる、仕舞うがひとつの動線に収まるように考えたんです。この十数年でキッチンのデザイン性と機能性が格段に良くなったように、洗濯もランドリールームとクローゼットの関係性、作業のできるカウンターなどを考え、使いやすい空間としていきたいものです。蛇口ひとつもデザインに選択肢がなく、水と湯の出る混合栓もリクエストを出さないと設置されない。まだまだ問題は山積みのように思います」

5衣類に優しい部屋干し

青空のもと、陽差しを浴びて心地よく揺らぐ洗濯物。洗濯物を干すとなるとそんなシーンを思い浮かべますが、中村さんは太陽よりも風が必要と言います。
中村さん自身が洗濯をするのは夜。就寝前に室内に干し、翌朝に取り込みます。「紫外線が強い太陽光は衣服を劣化させます。それよりも風がよく通る室内で干すほうが衣服に優しいんですね。ただしカレーの色シミには紫外線がおすすめ。ターメリックに含まれるクルクミンの色素を紫外線が分解し、退色します。ただし汚れは別ですので洗ってください」

6乾燥機は仕上げを
手伝ってくれる存在

乾燥機を「仕上げを手伝ってくれる存在」と表現する中村さん。吊って干すことは多いものの、タオルや子どもの肌着には必ず乾燥機を使うそう。
タオルは温風でふんわりとし、子ども用の肌着は熱で衛生面を保つことができます。ダウンジャケットや羽毛布団も内部に封入される羽毛をほぐしてくれるなど、機械だからできる仕上げが魅力ですね。必ずしも乾燥機ですべてを乾かす必要もありません。セーターは自然乾燥のあとに乾燥機で仕上げます。Tシャツも10分だけ乾燥機をかけ、その後に干します。温風による叩き作業でシワが伸びる。表情を戻すのに乾燥機は効果的です」

アイロンとアイロン台

7アイロンで整える
までが洗濯

アイロンをかけて、はじめて洗濯が完成すると中村さん。タオルや熱に弱い素材を除き、セーターやレザージャケット、下着までアイロンをかけます。「これまで話してきたように洗濯とは衣類のケア。そこで重要なのが形を整えることです。形を崩さずに洗うことは難しく、そこでアイロンの出番です」洗いジワはもとより、着用や洗濯で伸びた箇所を元の形を戻すことも目的と中村さん。スーツもアイロンでプレスするだけでより長く着用できるとか。軽量なアイロンが増えてはいるものの、重たいアイロンを推薦します。

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