2025.11.27
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ヌライ・アイランド・ヴィラズ(アラブ首長国連邦・アブダビ)

アブダビ沖のプライベート島リゾート、ヌライ・アイランド。砂浜と水辺に沿うヴィラは、Drorによる“緑のカーペット”のマスタープランで景観に溶け込み、各邸に高いプライバシーを確保します。プライベートビーチやホテル、共用施設を備え、静けさと贅沢が共存する滞在体験をかなえます。

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主用途 ビーチヴィラ31棟、ウォーターサイドヴィラ36棟、サービス/レジャー施設
設計 Dror

海岸――あるいはまさに水際で暮らすということ。ヌライ島では、ほとんどすべての建物から果てしない青を望めます。ボートでしか行けないウォーターサイドのヴィラは、比類のないロケーションを誇り、入居者はプライベートビーチと地平線まで遮るもののない眺望を楽しめます。静かな青から離れたくなっても、ほどなく別の岸へ渡ることができます。ヌライ島は、グッゲンハイム美術館やルーヴル・アブダビがある文化拠点サディヤット島からわずか1キロです。
島名はアラビア語で「光」を意味する Nur に由来し、ヌライ島の特色――比類のない光の効果に満ちたヴィラ群――を表しています。リビングに組み込まれた天井照明や水景は、光と反射の相互作用を生み、ムーア様式やアラビア建築にも見られる趣をもたらします。
水際のヴィラは、まさに“自分だけの楽園”。建物は造園された緑の“カーペット”に抱かれるように配置され、ビーチ側からしか見えません。島での暮らしにふさわしい、稀少なプライバシーを提供します。
室内は、淡い砂の色を映す石のインレイや木質の自然なトーンでまとめ、キッチンのダークカラーの前板が上品なコントラストを添えています。

ヌライ島であなたに与えられた課題は?

当時、私たちは建築の世界で活動を始めたばかりでした。ヌライ島の発注者がニューヨークのスタジオを訪れ、椅子や花瓶、そして少しラディカルな建築コンセプトなど、私たちの仕事をいくつかご覧になりました。そしてこう言ったのです。「あなた方の仕事はとても示唆に富んでいる。土地が一画あるので、考えてアイデアを提案してほしい」と。最初の契約の構想は、アブダビ沖の13万5,000㎡の土地でした。世界の各地にすでに4~6軒の家を所有する顧客のために、島にラグジュアリーな住宅を建て、開発全体の中核にはホテルを据える、というものでした。

私は、「すでに何でも持っている人にとってのラグジュアリーとは何か」を考え始めました。たどり着いた結論は、ラグジュアリーの本質はプライバシーだということ。すでに5~6軒も家を持つ人が、なぜさらに家と“お隣さん”を欲しがるのか? いっそ島を買えばいいのでは? しかし同時に、人は他者とともにいるのが好きで、孤独でいたくはない――ということも考えました。プライバシーとラグジュアリー、交流と孤独。その均衡こそが、この計画の着想源になったのです。

ヌライ島のマスタープランは、どのような発想から生まれましたか?

私はペルシャ湾と、見事なカーペットを結びつけて考えます。物を“隠すカーペット”という発想にインスピレーションを受けました。子どもは部屋を片付けなさいと言われると、おもちゃをカーペットの下に押し込んで見えなくしてしまうことがありますよね。大人である私たちにも、見たくないものを隠したいという子どもっぽい衝動があります。では、このプロジェクトにも同じアプローチを適用したらどうなるだろう? 島に必要な設備すべてを“緑のカーペット”で覆ったら? 自分の家の屋上から隣家が見えない――存在は知っていても視界には入らない――そんな状況をつくれたら? この発想が、景観の中でカモフラージュし、覆い隠すという私たちのアイデアの基盤になりました。

私たちが提案したヌライ島のマスタープランは、住宅や施設をその下に配した連続する緑の建築的“カーペット”です。孤立性(プライバシー)と物質的な快適さを高次で両立させたことが奏功し、プロジェクトは72時間以内に完売。当時のアラブ首長国連邦で、住宅の平米単価として史上最高値の記録を打ち立てました。

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