THINK AND TASTE FIRST PLACE 集う人々との一体感、料理が笑顔の対話を生む
2025.01.23
vol.3「THINK & TASTE」

THINK & TASTE FIRST PLACE
集う人々との一体感、料理が笑顔の対話を生む

ミーレとなどやがタッグを組み、都心の古い一軒家にキッチンを据えた「FIRST PLACE」。プロジェクトのコンセプト「キッチンから未来を考える」をお客様と共有する二日間「THINK & TASTE FIRST PLACE」が開催されました。
一日目は、畑と食卓をつなぐ長崎・雲仙のオーガニック直売所「タネト」奥津爾さんと、神奈川・横浜「青果ミコト屋」の鈴木鉄平さんをゲストに迎え、建築家のなどや・岡村俊輔さんとの対話を。若き料理人の伊藤渉さんがダイナミックに料理を進めるキッチンをバックに、会話が熱を帯びていきます。
二日目は、岸本恵理子さんによる「find route from the roots」。出張料理人として国内外で料理を続ける岸本さんが、さまざまな土地の食と出会い、醸成してきた自身の食のスタイルを通して、改めて自身の根源的な家族の味を見つめたお話。そこから新たな味へと向かう料理を披露してくれました。

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キッチンに人が集まっている写真
食材の写真

DAY1。冷えてきた夕方、奥のキッチンでは2台のミーレオーブンがずっと稼働して準備が進んでいます。キッチンカウンターにはふんだんに青果ミコト屋の野菜が載り、食欲をそそる彩り。ミコト屋の鈴木鉄平さんが、柑橘や蒸した芋などを少しずつ割って手渡しながら、それぞれの特徴や味わいを教えてくれて、香りを嗅いだりかじったりすると目がグッと開きます。人の声と手渡しで野菜を感じる。それが「八百屋」での買い物の醍醐味だと、改めて思います。
タネトと青果ミコト屋は、ともに「在来種」と呼ばれる野菜を扱い、食卓へと繋ぐ役割を担っています。種を買って蒔き、作物をつくるのではなく、育てた作物の種を採りながら、その種で作物を育て出荷する農家がいます。土地固有の種として、何代にもわたり守り繋いでつくられているのが「在来種」です。
それはとても珍しいこと。
奥津さん「今、流通している野菜は、9割以上が購入した種からつくられていて、そのほとんどが輸入に頼っているもの。肥料も同じです」 日本で育てられる野菜に、日本製の種がほとんどないことは、どれほど知られているでしょうか。画一的な農のあり方では見つからないおいしさを辿り、伝えてきた二人は、建築家、岡村俊輔さんがFIRST PLACEに注ぎ込んだ考えとあっという間にシンクロしていきます。

談笑している写真

FIRST PLACEの地階にあるひび割れた土の台。80年前のコンクリート基礎を剥がして出てきた土床には、「今の生活や暮らしの土台を見直さなければいけないのでは」という意味も込められています。
岡村さん「僕たちが今日、当たり前のように思っていることは、実は20世紀の資本主義社会の中で作られたもの。建築で言えば、世界のどの地域にも通用するデザインを発明しよう、というモダニズム運動があって、自然や場所の特性、伝統や歴史を排除した。その結果、世界中に、四角くて白い建物に窓が並んでいるような景色が広まっている」 奥津さん「それはまさに、今の野菜の状況と同じですね。アノニマス。昔は在来種しかなかった日本が、海外から種を輸入している。品種改良した、撒けば大体同じ形のものができる種で、ある程度、どこでも、誰にでもできる慣行農法で。歴史を飛び出し、自然から切り離して、場所の特性も排除している」 今、スーパーに並ぶ野菜のかたちは、そうして画一的な規格が当たり前になりました。
岡村さん「でも今は、社会が大きく変わって、これからの日本は、人口が減る一方。いろいろなものを大量生産しなくて良くなったら、当時の考え方や哲学のようなものが当てはまらなくなってくる。僕は建築を軸に活動していて、ミーレはビルトイン家電を提供している、双方が衣食住の専門家として、これからこの社会に何ができるんだろう、というのが、命題としてあります。それはきっと、利便性を提供することではなくて、今の生活や暮らしの地面より下にある、土台みたいなものを見直さなければいけないのでは。近代以降、建築は地面から切り離されたと言われている。それをもう一度土に戻す。もう一度、基準線を引き直す。そんな問いかけの意味も、このFIRST PLACEにはあリます」

人が集まっている写真 ひびの入った台の写真

岡村さんが、シンプルな技術と、敷地内や手軽に手に入る材料で、自分の手も動かしながらつくった場所を見ながら、社会の変化を語ります。
鈴木さん「農業でも、昔は農家が種も採っていた。それが、大量生産する上で、種と農業が切り離されていく。それはその社会では合理的で必要なことだったと思う。それがあったから、僕たちは今、豊かな暮らしを得たわけで、そこを僕は否定したくなくて。その時代の画一的なビルも、規格を整えた農業や流通も、多分、豊かにするために誠意をもって考えられた結果だと思うから。それを経た今、岡村さんの言うような、新しい基準線を引く、というところの再編集が求められてる。それはどのジャンルにおいてもそうだなと思います」 岡村さん「そう、否定はしたくない。20世紀は拡張していくことが正義だった。繁栄して成長していくことを信じて目指していたのだけど、どうやらそうはいかなくて。日本はこの先75年かけて、人口が3分の1になると言われています。それを20世紀に無茶した反動の衰退と捉えるのではなく、もう一度、22世紀の着地点に向けて着地していく、という主体的な考えを持てないか、という思いです」

キッチンにて人が集まって話している写真

奥津さん「僕らが在来種とか種のことを伝えるイベントをやっていると、各地で、各世代で、もう一回、自分たちで再構築して新しい文化を作ろうという立体的な動きをこの数年感じて、面白いんです。建築でもそういう横のつながりやグルーヴ感みたいなものは、ありますか?」 岡村さん「建築の世界でも、今までの考えのままの人もいるけれど、僕らみたいに理屈で考えるよりもっと野生的に動いてる若い子たちはたくさんいて、その子たちはやっぱり自然と人の関係性に対しても、もっとフラットに捉えてる」 奥津さんは「確かに俺らは能書きが多いね。やたらと蘊蓄(うんちく)を語る」と苦笑い。 自然と人が切り離されてきたことを実感する40代以上の世代。そうとは知らない若い世代の中には、人と自然を当たり前のように同等に捉え、ストレートにその活動に向かう人たちがいる、ということ。
岡村さん「でも、僕たちが伝えないといけないこともきっとあると思います。縄文時代からで言えば1万年という積み重ねてきた文明文化の歴史がある。それと20世紀につくられたテクノロジーがある。22世紀の着地点を見つめるならば、土や自然に立ち返りながら、テクノロジーと融合一致できたとき、着地という世界に近づくのかなあと思う」

キッチンで料理をいている写真

奥津さんは、岡村さんの話を聞き、「建築や料理は、新しいものが生まれている。今は、農家が本当に大変」と危機を訴えます。
「雨といえば集中豪雨しかない、秋になっても気温が下がらない。今年だけのことなのか、今後ずっとこういう事態なのか。就農したばかりの体力のない若い農家は、本当に人生の岐路に立たされています。危機感しかない」。 しかしそんな中、奥津さんの尊敬する生産者で、在来種栽培40年以上の岩崎政利さんは、「ようやく面白くなってきた」と言ったそうです。気候が荒れていつ何が起こるかわからない今こそ、農薬や肥料ではなくて、もっと科学的な研究や試みなどさまざまな要素と組み合わせ工夫をすべきなのではないか。科学的な有機農業のあり方を探れるのではないか、と。
奥津さん「そういう脳みそを、我々は使ってこなかったんじゃないかって。新しい何かを切り開くのに、我々は何かできることがあるはずで、だから面白いんですよね、きっと」 希望を、自らの手でつくろうとする強い意志を、岩崎さんの言葉に感じます。

食材の写真 人の写真

この日は料理に青果ミコト屋の野菜が使われ、屋外販売もされました。一つひとつ、説明を聞けば、どれも一度は試したくなるのです。たとえば、山形にあるただ一軒の農家が、一子相伝で室町時代から種採りを行っている甚五右ヱ門芋という里芋。とてもデリケートな品種で冬を越すのが大変。
鈴木さん「室町時代から、というロマンの話も大事だけど、それを守っている今の20代目のプレッシャーたるや! 自分がこの歴史を途絶えさせてはいけない、という重み。そんな野菜を普通の金額で買えるって、すごい話です。僕らが扱っている在来品種には、物語がある。一つひとつ話せるのが、こういう野菜のいいところですね」

食材を持った人の写真

奥津さん「日本ほど豊かな野菜の在来品種がある国は本当にない。大根だけでも200種類とか300種類とか、品種があるんです。日本は、野菜の多様性の、圧倒的な世界チャンピオンなんですよ。でも今は、その多様性が急速に失われつつある。試練の時です」 気候変動にあえぐ農業の現場、種を守るつくり手の減少。未来に希望を見出すことはひと筋縄では行きません。けれど、奥津さんは、まだやれることがある、と言います。
奥津さん「風土と気候を生かして、本質的なガストロノミー(美食)を理解すれば、日本はとんでもないことができる。外国から日本に来たくなるぐらいの、地域のガストロノミーを。若い料理人が食で目指すべき場所は、バスクでもコペンハーゲンでもなくて、日本。発酵の知恵、野菜の多様性の素晴らしさを、少なくとも食に携わる人には知っていてほしい。やれます、絶対」 文化的な喜びを肌で感じながら、食を味わい、知り、深めていく場。
FIRST PLACEは、キッチンを囲み、そこから生まれる料理を味わいながら、こうして言葉を交わし、思考を交換しながら未来を考えていくために始めたプロジェクトです。
奥津さん「まさにこの場のようなこと。岡村さんがここにあるものだけを使って、自分の手を動かして作った、ここだけの場所で、料理の音や匂いを嗅ぎながら、いろんな話をする。この景色が、本当に大事」

人が集まっている写真 芋を持った写真

語りを聞いていた一人から、投げかけがありました。ものづくりをしていると、社会的正義や地球環境への配慮、自分たちの目指すこと、現実にどこで折り合いをつければいいか常に葛藤がある、と。それに対して、3人とも深く頷き、よくわかる、と返します。
ミコト屋「僕らみたいな八百屋は、北海道とか鹿児島とか、遠方からも野菜を集めて、エネルギー的にもコスト的にも鮮度にしても、無駄の塊。その上で商売している事実はある。けど僕は出会いが大事だと思っていて、旅をするというライフワークを持っている。農家さんといい出会いがあったら、それを東京の人に伝えたい。そこはもう、49:51で1%でも自分を占めているものが大きいほうをやればいい。タネトみたいにその土地を深掘りして文化を作るとか支えるというのも、憧れはあるし応援してる。けど自分は、出会いやつながりは次世代に繋がるし、周りの誰かに繋がるものだと思うから、今のスタイルで」 奥津さん「タネトとミコト屋は、全然スタイルが違う。雲仙で、半径20km圏内の生産者だけの農薬・化学肥料不使用の野菜を、通販もやらずに売る僕らタネトと、全国の素晴らしい農家と繋がっているミコト屋。全然違う二人が共有してイベントをやっているのがすごくいい。どっちが正しいとか、社会的正義を持ち出して何かやるのは絶対に苦しさが出てくる。気持ちいいか悪いかそれぞれにラインがある。それを大事にしたい」 岡村さん「気持ち良いラインっていいですね」 鈴木さん「課題や取り組まなければいけないこと、危機感はあるけど、どこまで行っても、不安が消えることはない。今の現場のグルーヴの感じを楽しむために、どうするか。ユーモアだったり、常識を疑ったりすることで生まれる、安心するような感覚。課題を解決するようなことをエンジョイする、という気持ちを持ち続けて行けたらいいなと思ってます」

談笑している写真

長く熱いトークの間中、トントンと刻み、もくもくと蒸気を上げ、いい香りをさせていた料理人の伊藤渉さん。本当に楽しそうに、料理を進めています。4時間もローストした鶴首かぼちゃや、スチームオーブンで1時間半蒸した様々な野菜。裏庭にあった柿の葉や杉の葉、ハーブなどと共に蒸してほんのり香りを移しています。大事に守り継がれた里芋と一緒にじゃがいもやチーズと仕上げたグラタン。野菜とアグー豚を一緒に鉄板に入れて6時間もかけた煮込み。皮を少し剥き始めた瞬間に香りがふわっと広がる柚香という柑橘は、焼いてサラダに合わせて。とにかく野菜をふんだんに使った料理が、とめどなく溢れ出てくる感覚。それに、里芋の皮などの「野菜の端っこ」をどんどん揚げて、「はいどーぞ」と渡していきます。伊藤さんは「今、目の前に、こんなにも美味しいものがあるよ、ほら!」という喜びに満ちていました。劇場のようなライブなキッチンは、集う人々を放しません。近隣のワインショップ「wineshop flow」から、藤枝遼太さんの選んだワインと共に。人々は歓声を上げ、笑顔になり、さらに話を続ける。温かな光景でした。

サラダの写真 料理人の写真
食材の写真
食材の写真 食材の写真
出来上がった料理の写真

DAY2。二日目は、料理がメインの「EAT FIRST PLACE」。出張料理人の岸本恵理子さんが「Find Route from the Roots」と題して、FIRST PLACEのキッチンで料理をし、その背景にある思いや考えをお客様と共有する会。
スタイリストの岩﨑牧子さんが庭から拾い集めた落ち葉を大テーブルの頭上に設えて、家の中と外を繋ぐようなムードに。昼の部と夜の部では、光の様子が異なり、全く違う二つの時間が生まれました。
数十年を経た民家の基礎を残したまま、次の時代に向けて一緒に生きていく場として生まれたFIRST PLACEを思い、今回は、根本にあるものを見つめ、食を通して自分たちの次のステップを見つけられるような会を、と、メニューを組み立ててくださいました。
使用する野菜は、前日のトークゲスト、鈴木鉄平さん率いる青果ミコト屋から! 前日に引き続き、伊藤渉さんがヘルプに入ります。

テーブルの写真
人の写真

岸本さんは、ご両親の生まれ育った場所もそれぞれで、岸本さん自身も転校の多い子ども時代を過ごしたそう。幼い頃から、お味噌汁の味が各地で違うことを感じながら育ちました。会社員を経てイタリアに渡り、料理修行。独り立ちして15年ほどが経つそうです。
岸本さん「ルーツがない。土地に根付いて生活していない分、土地によって料理の味や色が違うことをより強く感じていたと思います。イタリアで修行していたとき、人々が土地にめちゃくちゃ誇りを持っている人たちだったのが羨ましかったけれど、今はむしろ、根無し草感を活かして、いろんな土地の“誇り”を感じていけたらいいなと思っています。自分が辿ってきた場所で、胃袋を掴まれたものがたくさんあります。自分を振り返りつつ、その味わいを皆に伝えることで、自分も次にどんなステップを歩もうか、考えながら料理をしようかと思います」

料理中の写真 メニューの写真

お品書き

・大根寿司
・おから
・高菜と焼き舞茸
・焼き芋と奈良漬
・にんじんと香菜種

・砂肝と牛蒡の煮込み
・天然カンパチと赤蕪、新生姜の蒸し寿司
・菊芋の糠漬け

・柚香の甘味

例えば、前菜5品の一つに選んだ「大根寿司」は、お父さんの故郷に想いを馳せて。石川県や富山県で作られる伝統料理の「かぶら寿司」は、蕪とブリで作るのが一般的だけれど、お父様の故郷ではよく大根と身欠きにしんを使うそう。大根に魚と米麹を挟んで熟成醗酵させたもの。岸本さんはこの米麹を、FIRST PLACEにあるミーレのビルトインオーブンで、長時間低温を保てる機能を使い、土鍋でお米を炊いたところに麹を混ぜ込んで、55度で、夜から翌朝まで稼働させてつくりました。そのお米のとぎ汁にニシンを漬けて柔らかく戻してから、大根に挟み込みました。いつもは普通の大根を使っていましたが、ちょうどミコト屋に加賀原産の源助大根があったので、そちらを。

料理の写真

また「おから」は、「おふくろの味」、それに岸本さん自身の出身地と、修行先の味を加えて。
「母のおからは他とは全然違って、大人になってから、アサリの出汁で炊いていたと知ったんです」 そこへ、岸本さん自身が生まれた愛媛県より、温州みかんの皮と、焼いた実も合わせ、修行したイタリアの新物のオリーブオイルをかけました。
お母さんがよく作ってくれた炒りにんじんには、コリアンダーシードを入れてアレンジ。白芋と合わせた茶巾絞りには、自然発酵のお酒を軸とする寺田本家の奈良漬を。イタリアで少しお手伝いしたご縁だという寺田さんとは、「つい最近、一緒に飲んでいたときに思いついて」と。

料理の写真

そんな具合に、全ての料理は、岸本さんのルーツや記憶を掛け合わせ、青果ミコト屋が全国から選りすぐった野菜や、食仲間の元からやってきた食材を生かして準備されていきました。ひと皿の中に必ず、ルーツと、変化と、岸本さんの込めた新しさの見えるお料理です。

料理の写真 料理の写真
料理の写真

さらに母の味、砂肝と牛蒡の煮込みは、大阪の、岸本さんが愛してやまない「やまつ辻田」の七味をお好みで。無農薬のおじいちゃんが育てているお米でスチームオーブンを使った蒸し寿司は、ホワイトバルサミコでマリネした赤蕪に天然のカンパチをのせて、ハイビスカスの実の塩漬け、新生姜を。色鮮やかでとても華やいだ一品です。
岸本さんの料理の話には、必ず「人」が登場します。人との出会いの中で、土地の味に出会い、岸本さんの明日の味へと変化していきます。

料理の写真

デザートは香り高い柑橘「柚香」の果汁でクリームをたて、さらに搾った残りわたを白ワインで煮詰めてのせて、上に皮を刻んで練り込んだチュイールを焼いて乗せたスイーツ。まさに余すところなく使い切った、コースの締めくくりとなりました。
ここに集う方々は、ひと皿ごと、箸を取り、口に含みながら、ゆっくり味わってくださいました。そして知らない方同士も言葉を交わしながら、ある方は、ご自身のルーツにも思いを馳せたと言い、また別の方は、苦手だと思っていた煮込みを、全て飲み干しちゃったと嬉しそうに語って。いつまでも、自分の中に残る味は、なんでしょう。私たちはそれぞれが常に変化しながらも、過去からの記憶を引き継いでいます。過去が消えることはなく、未来は、今を生きる私たちの延長線上にしかないのだと、改めて感じるひとときでした。

「今回、メニューはある程度イメージをしてからミコト屋さんに行ったのですが、野菜を目の前にしちゃうとどんどん想像が膨らんで、増えていってしまう。でもそこでやめておこう、じゃなくて、やっぱりやってみる、とか、歩いてみる、とか、空気を感じてみる、とか。思いは、思っているだけでなくて、行動しなきゃいけないと常々思っています。それが一番、次に踏み出せる一歩なのかな、と、今回も感じていました」 岸本さんの料理は、言葉にするとこんなにも心強いメッセージを込めたものでした。

THINK & TASTE FIRST PLACE
DAY1
TALK: タネト 奥津 爾さん、青果ミコト屋 鈴木鉄平さん、などや 岡村俊輔さん(FIRST PLACE)
FOOD: 伊藤 渉さん
WINE: 藤枝遼太さん

DAY2
Find route from the roots
FOOD, TALK: 岸本恵理子さん
STYLING: 岩﨑牧子さん

GUEST PROFILE
奥津 爾
2003年に東京・吉祥寺で「オーガニックベース」を立ち上げ、料理教室やカフェの運営を通して食を素材から伝えていく活動を経て、2013年に長崎・雲仙に移住し、2019年にオーガニック直売所「タネト」をスタート。「種を蒔くデザイン展」をはじめとするさまざまな企画を立ち上げ、日本各地で土と食卓を繋ぐ活動を精力的に進めている。

鈴木鉄平
神奈川を拠点とする「青果ミコト屋」。全国の畑と食卓を巡る「旅する八百屋」として、2010年に友人と青果ミコト屋を立ち上げる。2021年にオープンした実店舗と、規格外の青果やロスになる食材を生かしたクラフトアイスクリームの店「KIKI NATURAL ICECREAM」も評判。

伊藤 渉
イタリアンレストランで経験を積み、東京・調布にある焚火料理の店「Maruta」で素材の豊かさや料理の奥深さを学ぶ。2021年からは、自然栽培の野菜を扱う「青果ミコト屋」に勤務し、野菜や農法と向き合いながら出張料理人としても活動を続け、2024年11月に独立。
@wataru_.ito

藤枝遼太
料理人として10年目の頃、ヴァンナチュールのパワーと関わる人々の愛とユーモアの虜となり、注ぎ手となることを決意。現在は、東京・幡ヶ谷のwineshop flowに所属しながら、ワインを中心とした個人の活動も行なっている。
@_ryotafujieda_

岸本恵理子
出張料理人。修行したイタリアに根付いた料理、そして地球上の様々な土地で巡り合い、舌・胃袋・ハートに刻んだ味を伝える。個人宅への出張料理、メニュー開発、メディアでのレシピ提供やフードコーディネートなどで活躍。イタリアスローフード協会スローフードマスター。
@eritin_on_the_earth

文・構成:森 祐子
写真:太田太朗

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