ランドリールームとは?
ムダな労力やコストをカット
家事効率がアップする洗濯専用空間
近年、共働きや家事シェアなど、ライフスタイルの変化から国内でも需要が高まっているランドリールーム。海外のホテルのような洗練された空間というイメージもあり、SNSでも注目を集めています。「設置することによって、洗濯の質が上がるだけでなく、家事全体の効率も格段にアップします」とその魅力を語るのは、住まい方アドバイザーとして、家事動線や収納術、間取りの監修など、わかりやすい暮らし提案に定評のある近藤典子さん。
「ランドリールームとは洗濯に関わる全ての作業が1カ所でできる空間です。洗濯前に色や柄もの、素材の仕分けや前処理をしたり、洗濯して服を乾かしアイロンをかけたり、畳んだり。近くにファミリークローゼットがあれば、しまう作業までひとつの空間で完結します。
あちらで乾かしてこちらでアイロンかけて、そっちでしまってと家中駆け回ることを考えれば、大幅な時間と労力のカットになります。また服を丁寧にケアできるスペースがある分、大切な服を長く愛用できることにも繋がり、クリーニング代などの削減にも」
ランドリールームは、ライフスタイルや洗濯を含めた家事動線に合う設計とすることで、家事全体のいい循環を生み出すのです。
ランドリールームを設置するメリット
室内干しなら天気や時間を気にせず洗濯
衣類ダメージを抑えたり防犯対策にも
洗濯を含む家事効率をアップするほかにも、ランドリールームを設置するメリットはたくさんあります。近藤さんに6つのポイントを伺いました。
互いの行動が制限されない
洗面・浴室の脱衣所に洗濯機がある場合、入浴前や洗面台で身支度をする家族と時間が重なってしまうことも。洗濯は後手になり家事全体に影響を及ぼしてしまう…そんな問題も解決。多目的に使えるスロップシンク*があれば、つけ置きなどの洗濯の下洗いや、ペットがいる世帯にも便利。
*掃除やお洗濯などの、汚水を流せる底が深い大きな流しのこと。
いつでも洗濯できる
雨の日でも環境の整った場所で洗濯物を乾かすことができる。昼夜問わずシーツや下着などの洗濯が必要な、介護や赤ちゃんの育児を行う人たちにとっても有効。
気になる花粉や黄砂、排気ガス、PM2.5など、外気の汚れやニオイを付着させない。アレルギー対策にも。
紫外線による色褪せや、生地の傷みから守ることができる。
洗濯物が夜まで干しっぱなしになっていると留守中と思われることも。室内干しで外部の人に洗濯物を見られないことで、防犯対策にもなる。
来客時にも洗濯物を見られることがないため、生活感を見せることがなく、安心にも繋がる。
ランドリールームに必要な広さや設備
コンパクトにも広々にも設計可能
作業範囲によって必要な広さは変わる
一般的に、ランドリールームに適した広さは2~3畳と言われています。ただし、基本の設備さえ押さえれば、コンパクトな住空間に1畳から作ることもできますし、ふだん使いの下着やルームウェア、タオル、通勤通学着などをしまっておくファミリークローゼットを隣接させれば3畳以上の広い設計にすることも可能。まずはベーシックな機器や設備を整え、必要なものをプラスしていくイメージで、自分の求める快適なランドリールームを作っていきます。
ランドリー機器とスロップシンクが基本
必要に応じて室内物干しや作業台、収納などをプラス
「基本となるのは、洗濯機と乾燥機、そして洗濯の下洗いをしたり掃除用の雑巾を洗うにも便利なスロップシンクの3つですね。スロップシンクはランドリールームの広さに合わせてコンパクトなサイズのものでもOK。これだけならば1畳分のスペースでもランドリールームが完成します。
そこに追加の設備を検討していきます。まずは室内物干しアイテム。天井から取り付けるタイプだけでなく、壁付けにしてシーツやバスタオルを干したり、洗濯物の量によっては、折り畳み式で床置きにできるものを揃えてもいいでしょう。
ミーレのように直線的なデザインの洗濯機、乾燥機ならば、並列に置いてカウンター内にビルトイン・スロットイン*することもでき、カウンターを作業台として活用することができます。直線的なデザインの洗濯機は、ランドリールーム全体に規律が生まれてシンプルに美しく見えることも利点ですね」
ミーレ以外のランドリー機器でビルトイン・スロットイン設置ができない場合は、天板を設置。「天板下にはスライドレールを設置して、引き出し用のボードをつけるのがおすすめ」と近藤さん。「もう一枚ボードがあると、アイロンをかける時や洗濯物を畳む時にも便利。その際、壁と天板の間には5~10cmの隙間を作るのもポイントです。アイロンをかけながら布を落とせる隙間にもなりさらに使い勝手が良くなります。最後は収納スペース。洗剤を入れる小さな棚は最低限必要ですが、何をどう収納するかによってランドリールームに求める広さも変わります」
*ビルトインは、カウンター下の高さが82-85cmの場合に、機器の天板を取り外して、専用のビルトインカバーを取り付けてカウンター下に設置。スロットインは、カウンター下の高さが85cm以上の場合に、機器の天板はそのままでカウンター下に設置。
ランドリールームを設計するにあたり、まず必要なのはランドリー機器を設置するためのスペース。ミーレの場合、機器の設置スペースのほか、機器の右隣に給・排水管設備のスペースが幅20cm、奥行き50cm以上必要になります。ご自宅に下見の際は、そのスペースを含めて設置ができるか確認します。
また、設置台数や設置方法(1台・並べる・積む・ビルトイン・スロットイン)で異なります。詳しくは、ミーレ直営店または販売店、工務店様などのお問い合わせください。
ランドリールームに適した間取りと位置
洗濯だけでなく
家事全体とライフスタイルに合わせて位置を決定
ランドリールームをどこに設置すると効率よく動けるのか、それは家ごとのライフスタイルによって異なります。「意外かもしれませんが、廊下に隣接した空間を少し凹ませてランドリールームをするのもひとつの手です。廊下を行き交いながら洗濯ができますし、ブラインドで区切ればスッキリと見せることもできます。
最近ではリモートワークでワークスペースに長くいる人が増えたので書斎の横に作るのもいいでしょう。仮眠しながら洗濯を終わらせたいという人は寝室の横に作っても便利。100の家があれば100通りの適した位置がありますよ」と近藤さん。中でも代表的なものを以下にご紹介します。
キッチンの横
掃除、炊事、洗濯という3大家事のうち場所が固定されているのが炊事と洗濯。料理をしながら合間に洗濯をする時など動線が短いと、家事効率は大幅にアップ。「洗面所やお風呂場はキッチンと隣接していなければと考える人も多いですが、ランドリールームがキッチン横に設置できれば、洗面所は離れていても問題ありません」
ベランダや庭など外干しスペースに隣接
ランドリールームで洗濯し、そのまま庭やベランダで外干しできる。「ランドリールームの向かいに小さな収納スペースを作るのもおすすめ。そこに季節ものの衣類や布団類を収納しておけばすぐに出して虫干しにできます。ベランダや庭の一部に屋根を付ければ陰干しも可能。収納・管理する場所と洗濯する場所が近いと虫干し・陰干しなどの面倒な作業もスムーズにできますよ」
脱衣所と兼用
衣服を脱ぐ場所と洗濯機をする場所が同じ空間にあることは、効率的にも理にかなっています。脱衣所内はランドリールームを作りやすく、スタンダードですね。ただし、入浴前や洗面台で身支度をする家族と時間が重なることもあるため、空間にゆとりがあるとなお良いと思います。
ミーレならではの多様な設置スタイル
ミーレのランドリー機器は、単独置きのほか、横並び、2段積みなど、スペースに応じて様々な設置スタイルに対応できます。またカウンターにビルトイン・スロットインするなど、空間にしっくり溶け込む設置も可能。ランドリールームにミーレを設置いただいている方も多く、洗練された空間作りができる、といった声をいただいています。
ミーレのあるランドリールーム活用法
ランドリールームの設置で
家族7人分の洗濯ストレスが軽減
ランドリールームを設置することで、実際に洗濯動線がどのようにスムーズになるのでしょうか?ミーレのランドリー機器のご愛用者でもあり、ご自身でランドリールームの動線を設計したという@uca_rkさんに、お洗濯の流れを伺いました。近藤さんのプロならではの視点も交えてご紹介します。
@uca_rkさんPROFILE
ご夫婦とお子さま5人の7人家族。ミーレのあるランドリールームや、発酵調味料を使った料理、ライフスタイル情報などをインスタグラムで日々発信している。
@uca_rkさん宅の間取りは浴室から脱衣所、洗面所、ランドリールーム、キッチンと水回りがラウンド上に繋がった設計になっています。キッチン以外はほぼ直線で繋がっており、スムーズでムダな動きの出にくい洗濯動線を実現。洗面所の向かいには、ファミリークローゼットも。間取り図と洗濯動線を見てみましょう。
近藤さんは「プロのように非常によく考えられている設計」、と言います。「通路の広さも良いですね。洗面所で人が動くのに必要な最低70cmに余裕があり、作業をしている間に一方通行になることなく、他の人も行き来ができる。これは重要なポイントです」
ここからは間取り図の番号順に、洗濯の流れを説明します。
洗濯物の仕分けをする
洗濯前の衣類の仕分けは3か所で行っており、浴室洗面所では脱いだ衣類などを白・色物別に洗濯カゴで分類。ファミリークローゼット内には使用済みのタオルを入れるボックスがあり、洗面所の引き出しにはデリケートな衣類を収納。洗濯時には他のカゴに入れる変えることなく、そのまま洗濯機の前に持っていくことができます。
スロップシンクで下洗い
ハードなシミや汚れは、洗濯機に入れる前に下洗いを。ucaさん宅のスロップシンクはハンドシャワー型の水栓で伸びるため、気になる箇所に直接水を当てることができます。
ミーレドラム式洗濯機・衣類乾燥機で洗う・乾かす
仕分けをした色や素材ごとに、対応するミーレ洗濯機・衣類乾燥機のプログラムでお洗濯。以前は国内メーカーの洗濯機を使用していたそうですが、「ミーレは洗い上がりがまるで違います。シーツなどのリネンは『コットンプログラム*』で洗っていますが、しっかり汚れが落ちて清潔になってると実感できます」とucaさん。
ucaさんは7人家族で洗濯物の量も多く、1日中洗濯機を回しているとのことですが、ランドリールームを設置して室内干しができることで、洗濯・家事ストレスが大きく軽減されたのだとか。
夜までに溜まったタオル類などは、寝室のそばに設置したミーレ洗濯乾燥機で夜中に洗濯し、朝取り出すというルーティーンに。ミーレ洗濯機・洗濯乾燥機・衣類乾燥機、3台の活用で家族7人分の洗濯物を効率的にお洗濯できるようになったそう。
*最大90℃の設定ができるプログラム。
室内物干しで部屋干し
湿気対策は全館空調で対応
外気の汚れや、花粉対策から干すのは室内のみ。電動の室内物干しユニットを2つ活用して、衣類乾燥機に対応していない洋服から寝具類まで干しています。使わない時は天井に収納されるので見た目もスッキリ。洗濯物に合わせて、高さや長さを自在に調節できるのも便利なポイントだそう。
全館空調のため、湿気や温度も調節でき、理想的な部屋干し環境を常に保てるのも魅力。
気になる湿気対策はどうする?
理想的な室内干し環境を作るお助けアイテム
近藤さんいわく、快適な室内干し環境を整えるために重要なのは「空気の流れを作ること」。「できれば高さの異なる窓を2方向に作るのがポイントです。さらに、換気扇か除湿機、部屋干し用ファンのどれか2つを併用して設置するのがおすすめ。換気扇と除湿機なら平均して8時間、換気扇と部屋干しファンならおよそ10時間で乾くと言われています。除湿機はサーキュレーターでも代用できます」
吊るしてスチーム、作業台に置いてしっかり
2つの方法でアイロンがけ
シワが気になる素材や衣類にはアイロンを。衣類は、ランドリー機器上にあるアイアンハンガーに吊るした状態でスチームアイロンを。熱や湿気を取るために、しばらくそのまま干しておくこともできます。リネンのクロスやエプロンなどは、ランドリー機器上の作業台にアイロン台を置いて、程よい重量感のあるアイロンでしっかりプレスを。
近藤さんが気になったのは、作業台の高さ。「キッチンや洗濯にまつわる作業などで、ストレスなく作業ができる一般的な高さは約86cm程度。アイロンをかける時に、不要な力が入りにくいので生地を傷めにくい。身長や好みにもよりますが、作業台として非常に使いやすいと言えます。ミーレのランドリー機器は高さ85cm程度なので、キャビネットなどに組み込んでも理想的な高さになりそうですね」
作業台でタオルや衣類などを畳む
作業台でタオルや衣類を畳みます。「畳むのも大変な作業なので、シワが気になるものやタオルだけにしています」、とucaさん。人から見える位置に収納するものは巻いて畳むなど、見た目の美しさにもこだわりを。
ふだん使いのタオルや下着は
ファミリークローゼットに収納
シワが気にならないパジャマ、下着、タオル、靴下、小さなお子さまの服、ハンカチなどは、さっと畳んでファミリークローゼットに収納。浴室のそばにあるため、お風呂から出たら使い終わったタオルはファミリークローゼット内の仕分け用の入れ物に入れ、下着はクローゼット内の収納ボックスから取る、という家族にとっても便利なフローに。
ファミリークローゼットには、同じ大きさのボックスがズラリと並び、棚にきっちりと収まっています。
近藤さんは、収納したいものに合わせて、事前に棚の設計を考えるべき、と言います。「普通は棚を設置してから、高さに合わせて収納道具を考えがちですが、事前にしっかりと計算することがとても大切。どこにどんなものを収めるか、それを収納する道具のサイズを測ってから、棚の幅や高さ・奥行きなどの寸法を決めるとムダなスペースも生まれず、自分にとって使いやすい収納になるんです」
ファミリークローゼット内のハンガーには、アイロンをかけた衣類やスーツ、ジャケットなどの仕事着を吊るしておくことも。
向かいにある洗面所で身支度をして、そのままサッと羽織ることができます。
ランドリールームと家事室を兼用
洗濯だけでなく、掃除・調理道具も収納
ucaさん宅のランドリールーム内には、洗剤などの洗濯関連アイテムの他に、掃除用具や調理道具、ゴミ箱を収納するスペースも。パソコン作業などができる台も備えており、ランドリールーム兼家事室・ワークスペースとして活用しています。
「家事の三大要素である掃除・洗濯・炊事が動線上におさまっているのが非常に良いですね。収納によって、扉の有り無しを使い分けてるのも素晴らしい。調理道具はオープン収納なので手に取りやすく、扉を開けて取り出すときに落とす、といったことを避けられます。一方でニオイを出したり汚れを外に見せたくない掃除道具入れやゴミ箱入れには扉がついています。小さなことですが、重要なポイントです(近藤さん)」
ucaさんはミーレの掃除機もご愛用。ランドリールームと繋がっているLDKのお掃除にも活用しているそう。
ミーレのあるランドリールーム実例集
ミーレご愛用者様の素敵なランドリールームをご紹介します。収納術やインテリアなどもご参考になさってください。
海外のランドリールームのような雰囲気がお気に入り
洗濯に関する家事を効率的に行いたかったので、洗濯機から洗濯物を出してから干す、乾いた洗濯物をすぐに片付けられる動線にしました。
ミーレさんの洗濯機はビルトインにできてデザインも凄く素敵で置くだけで海外のランドリールームのようになるのが大好きで採用しました。
毎日のお洗濯でよく使うのは「クイックパワー」プログラム。また、今までクリーニングに出していた子どもの「ダウン」も素材別プログラムで洗うことができて感動しました。衣替えの時も助かっています。
洗濯を楽しいものに 居心地の良さにこだわった空間
ランドリールームは、朝起きてすぐ向かう場所なので、明るく居心地の良い空間にしたい。設計段階から譲れなかったこだわりです。お花、香り、音楽。洗濯が嫌な家事ではなく癒しの時間になるよう、シンプルな空間に仕上げて頂きました。7人家族のわが家は、洗濯物の量も多く、制服、体操服や部活・習い事のウェアなど、洗うものも様々。ミーレはそれぞれに合った最適のプログラムで仕上げてくれるので、安心して任せられます。
ファミリークローゼットを繋げて家事ストレスを軽減
「洗って干してしまう」を一つのスペースで、をベースにつくりました。インナーやパジャマはランドリールームの引き出しにしまい、洋服は隣に繋がっているファミリークローゼットに収納。ここに全ての家族の衣類を収めることで、洗濯後の畳んだ衣類を各部屋に持っていくと言う手間もなくなり、家事がずいぶん楽になりました。
ミーレは素材に合わせていろんなプログラムがあるので、マメではない私でも上手に洗濯できるのと、洗剤自動投入システム(TwinDos)で洗剤を毎回セットする手間が無くて助かります。
畳む・仕分け・アイロンがけをこのスペースで
家事動線がスムーズに
ミーレ洗濯機・衣類乾燥機の上をカウンターにして、畳む・仕分ける・アイロンが捗るよう工夫しました。ランドリールーム兼脱衣所は、浴室・クローゼット・洗面台と隣接する場所にあるため、家事動線が良くお気に入りです。下着や部屋着もここに収納しているので、お風呂あがりにさっと取り出して着ることができますし、収納もラクです。
ミーレ洗濯機のお湯で洗えるプログラムのおかげか、ワイシャツの黄ばみがほとんど気にならず、枕カバーの色やニオイもすっきり取れて驚いています。
株式会社 近藤典子 Home&Life研究所 取締役
住まい方アドバイザー
近藤典子さん
株式会社 近藤典子 Home&Life研究所 取締役
住まい方アドバイザー
近藤典子さん
35年以上にわたり、片付けや収納、間取り提案など暮らしを応援する提案をおこなう。個人宅のみならず企業のショールームや展示場のプロデュース、コラボ商品の開発についても実績多数。
著書は50冊以上、ハウスメーカーとのコラボ住宅がグッドデザイン賞を受賞するなど国内外で高い評価を得ている。長年の経験から暮らしやすさを実現する法則やポイントを見出し、住む人の暮らしに合わせた住宅の間取り提案を身につけられる「住まい方アドバイザー養成講座」を開講。