地球を守るためできることは全てやる姿勢
IFA 2022のプレスカンファレンスには、ミーレの共同経営者兼代表取締役であるDr.マルクス・ミーレとDr.ラインハルト・ツィンカン、さらにマーケティングおよびセールス担当取締役のDr.アクセル・クニールが登壇。ミーレが地球という唯一無二の惑星を守るために、どの家電メーカーよりも真剣にサステナビリティに取り組む姿勢を強調するところから始まりました。
“時代に先駆けた品質を体験。より良い明日のために”というキャッチフレーズを掲げ、いかに人々がよりサステナブルな暮らしを送れるかにフォーカスし、ミーレとしてさまざまな工夫をしていることを宣言しました。
記者会見の冒頭、Dr.ラインハルト・ツィンカンは経営状況について明るいニュースを発表。「コロナウィルスにより、家電市場の景気は明らかに冷え込んだものの、ミーレは2020年に6.5%、2021年に7.5%の売上増を達成し、引き続き成長路線を維持。高価格帯の家電製品、特にビルトイン機器の需要は依然高く、多くの消費者は、家電製品に長寿命とエネルギー効率を求め、より慎重に購入するようになっている」と説明しました。
さらに約3000m²の面積に400以上の製品を展示しているブース、その中心に「サステナビリティ通り(Sustainability Alley)」が存在し、販売、サービス、ロジスティクスのすべての拠点で、環境保全と気候変動の抑制に取り組んでいることをわかりやすく紹介しました。
続いて、Dr. ラインハルト・ツィンカンは、展示ブース自体もサステナブルに設計され、ブース部分はすべて再利用できるように保管していること、家具や装飾品はレンタルされ、カーペットや使用される紙類はすべて100%リサイクルされていることを伝えています。
Dr. マルクス・ミーレは、企業と製品におけるサスティナビリティは基礎的な競争力の要素であり、ミーレが社会の要求に応え、企業としての価値を向上するべく、三つの基本的な行動分野について誓いを定めていることを説明します。
1.「あらゆる段階でサステナビリティを実現する」
ミーレは、サービスや製品のライフサイクルのあらゆる段階において、またバリューチェーン全体やお客さまの家庭においても、サステナビリティを不可欠なものにするために、あらゆるステップで継続的に取り組んでいます。
2. 「炭素の足跡を残さない家電を創る」
ミーレは、100%カーボンニュートラルな製品を究極の目的として、環境への影響を最小限に抑えた最高の製品とサービスを提供することに専念しています。
3.「家電に新たな命を与えることで廃棄を無くす」
ミーレは、家電製品に使用されているすべての素材について、ライフサイクルの終了時に再循環させて廃棄物をゼロにする循環型バリューチェーンの構築を目指しています。
さらにDr. マルクス・ミーレは、工場だけでなく、稼働している営業車両についても高い採用基準を設けていることを発表。2030年までにCO2を30%削減できる見込みで、配送車両をすべて電気自動車に移行する予定とのこと。「ミーレは、サービス技術者にエミッションフリーな移動手段を提供するオペル・ヴィヴァーロ(Opel Vivaro)のe水素自動車を採用した最初の企業だ」ということもあわせて公表しました。
CO2排出量削減のための水素利用は他のプロジェクトにも及びます。Dr. マルクス・ミーレは、「昨年はオーブンの製造に月24トンの『グリーン・スチール』を使用し、製造段階でのCO2排出量を66%削減しましたが、将来的には、水素を使用することでCO2排出量を95%以上削減することを目標とする」とも表明しました。
最後に、マーケティングおよびセールス担当取締役のDr.アクセル・クニールが登壇。製品の品質、信頼性、耐久性がミーレ製品の核心であることを強調し、20年間の使用を想定した家電製品を生産していることなど、ユーザーがよりサステナブルな生活を送ることができるよう、できる限りのことをすると宣言しました。
「CO2排出量の84%は家電製品の生産時ではなく、実は家庭での使用時に発生するものだ」と述べ、「稼働時の電力消費量においては、ミーレは何十年もの間、最小限に抑える努力を重ねてきた。この20年で、ミーレの家庭用電化製品の電力消費量は平均して55%削減し、洗濯機においては、72%弱の削減を達成した」と話しました。
さらに、消費者による機器使用時のプログラムの選び方も大きな影響を与えることをDr.アクセル・クニールは強調しました。「ドイツで、機器稼働時のエネルギー消費を大幅に削減するECOプログラムを洗濯機で使用している家庭はわずか5%であること、食器洗い機でも25%であることが調査やデータからわかっている。もし、洗濯機でのECOプラグラムの使用割合を30%に、食器洗い機で50%に引き上げることができたなら、年間ベースで約15億キロワット時のエネルギーを節約することができる」とのこと。「この15億キロワット時というのは、バイエルン州の原子力発電所2基が1ヵ月半で生産するエネルギー量に相当。エネルギー削減において私たちの手で日々できることがある」と述べました。
「より良い明日のために、時代に先駆けた品質を提供するのがミーレであり、それらを選ぶのがお客様なのです」と、Dr.アクセル・クニールは宣言しました。
ミーレの家電を使えばサステナビリティを実現
ブースは「サステナビリティ通り(Sustainability Alley)」を中心にさまざまな製品を紹介するエリアへと広がっています。これは上でも書いたとおり、販売、サービス、ロジスティクスのすべての拠点で、環境保全と気候変動の抑制に取り組んでいることを示しています。
その中で主にユーザー視点でもできることとして、【洗剤の使い方を工夫する】【よりスマートな冷却で食品廃棄物を削減】【資源を大切にする洗濯・洗浄で、資源を節約する】ことにフォーカス。ブースではミーレの家電を使うだけで、誰もがサステナビリティを実現できる方法を示しています。
ここではそんなサステナブルな暮らしに役立つ、ミーレブースの注目の展示製品を見ていきましょう。
※日本での発売はすべて未定
★スチームオーブン
新しいスチームオーブンは、充実したミーレのオーブンと本格的なスチームクッカーを組み合わせています。一台二役で省スペースに。上下加熱や熱風加熱プラスなどの定番のオーブンモードに加え、食材の風味だけでなくビタミンやミネラルを最大限残すスチーム調理が可能。注目の新機能HydroClean(ハイドロクリーン)は、専用洗剤を入れることで自動でセルフクリーニングします。季節ごとなどの清掃に役立ち、長期間庫内を清潔に維持します。
★フリースタンディング冷蔵冷凍庫
新しいフリースタンディングの冷蔵冷凍庫K4000は、採れたて野菜や果物の新鮮さをそのままキープすることができます。調査によると、ドイツだけでも毎年1200万から1800万トンの食品がゴミ箱に捨てられ、周知の通り、フードロスを解決することは世界中の喫緊の課題となっています。PerfectFresh Active機能は、90分毎および扉を開くたびに、新鮮な果物や野菜の生鮮食品を保存する庫内に細かな霧を噴出、一般的な生鮮食品の保存庫と比べてそれらの鮮度を最大5倍長持ちさせます。シリカを用いた断熱材は、高品質かつ省スペースを実現し、長年にわたるエネルギー効率性を提供。下段の冷凍スペースの温度帯を変えて、冷蔵スペースにフレキシブルに変更することもできます。
★IHクッキングヒーター
新しいIHクッキングヒーターは、市場最も弾力性のある表面仕上げのひとつで、硬度が高く高品質なダイヤモンドフィニッシュコーティングにより、傷の発生を大幅に低減します。最大6つの鍋やキャセロールをどこにでも置くことができ、自由に移動させることができます。調理ゾーンごとにパワーレベルを簡単に直接設定でき、直感的な操作が可能です。
★ダウンドラフト型排気装置内蔵IHクッキングヒーター
IHクッキングヒーターと排気装置の”TwoInOne”の組み合わせで、調理により発生した煙などがクッキングヒーター内に吸い込むことが可能。ComfortSelect Plus機能により、すべての調理ゾーンとファンを中央の数字列で明確にコントロールできます。新型サイレンスモーターは吸気モードでの高いファンパワーを印象づけると同時に、非常に静かな音を実現します。
★FrontFit食器洗い機
食器洗い機は最高の使いやすさに加え、ドア材取り付けのインテリジェントなFrontFit機構を新たに開発しました。食器洗い機を開く際にドア材がわずかに上方にスライド。これによりドア開閉時に必要な下部の空間が減り、その下の面材との間の隙間は数ミリで済みます。キッチン環境における最大限調和と究極の利便性が融合します。
★洗濯機
持続可能なランドリーケアの分野で、主導的な役割を果たし続けているミーレ。優れたエネルギー効率と短いサイクルタイムを実現するのは、追加の循環ポンプを使って洗浄水をドラム上部まで繰り返し送るパワーウォッシュシステムを搭載しているから。そして、「シングルウォッシュ」オプションを使うことで、短時間で少量の洗濯物もエネルギー効率良く洗えます。新しいエネルギーラベルの厳しい基準の下でも、ミーレのほとんどすべてのフロントローダー型洗濯機がエネルギー効率トップAクラスを取得しています。20年間の使用を想定した長期寿命の製品設計。そして、優れたリサイクル性のために、最大80パーセントの金属含有量で製造しています。
★コードレス掃除機
コードレス掃除機の第2世代、Triflex HX2は、先代機のユニークな柔軟性に加え、吸引力のさらなる向上とユーザーの利便性の改善を実現。ミーレ特許の3-in-1デザインにより、モーター、充電池、ダストボックス一体のPowerUnitは上部にも下部にも取り付け可能。単体で自立できるほか、低い家具の下や天井も楽に掃除機をかけることができます。また、PowerUnitは一瞬で単独走行が可能で、車のシートやソファの掃除に便利。交換可能なVARTAリチウムイオンバッテリーにより、最大60分の掃除が可能。モデルによっては追加バッテリーが付属しており、掃除機の稼働時間を最大120分まで倍増させることができます。
Text:滝田勝紀