ミーレオーブンや調理機器とキッチンの様子
2023.10.06

本間美紀さん presents.
インテリアキッチンこそビルトイン家電!の理由

キッチンを家具として選ぶヨーロッパでは以前から「インテリアキッチン」が主流。日本でも近年キッチンをインテリアとして楽しむ人が増えているそうです。インテリアキッチンの始まりは、自分らしさ、家族の暮らしを分析し、自分の好きな空間、インテリアの中に落とし込むこと。そんな「インテリアキッチンにこそビルトイン家電がお勧め」とおっしゃるキッチンジャーナリストの本間美紀さんに、その理由や注意点、実現に向けてのポイントをお伺いしました。

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写真は本間美紀がミラノサローネ国際家具見本市のこの数年の「ユーロクチーナ」で取材したキッチンを紹介しています。

キッチンをインテリアとして楽しむ。そんな人がとても増えているのをご存じですか?お料理の場所だけではなく、キッチンを家具や照明、床材と合わせてコーディネートする。キッチン選びのスタートが、旅先のホテルや居心地のいいレストランの空間だったりする。そんなお話を取材でよく聞きます。

キッチンに軽食テーブルが一体化している様子
[Molteni /Italy Intersection]キッチンに軽食テーブルが一体化しています。チェアや照明までもキッチン空間の要素です。

ヨーロッパのキッチンは大半が家具のメーカーから発達したもので、キッチンも家具の店で販売されています。建築家やインテリアデザイナーと一緒に、家具とキッチンを選び、家族が集まる場所にオープンなスタイルでレイアウトし、そこに調理家電やシンク、水栓などを家族のライフスタイルに合わせて選んで「ビルトイン」していく。

それが家具としてのキッチンーインテリアキッチンのつくりかたなのです。

ビルトインオーブンがインテリアに溶け込んでいる様子
[Snaidero /italy ELEMENTI]グレイッシュやブラックのキッチンはこの数年大人気に。ビルトインオーブンがインテリアに溶け込んでいます。

ビルトイン家電はキッチンキャビネットの中にすっきりと収めるのがインテリアキッチンでは当たり前。ヨーロッパのビルトイン家電のブランドは、常に「インテリアの中の家電」を意識しているため、家電のフェイスデザインをとても重視しています。

ビルトイン家電はどんな家、キッチン、インテリアに設置されるかわかりません。いかなるキッチンに組み込まれてもなじみ、美しく、主張しないことを大切にしています。

それでいてキッチンやインテリアのトレンドカラーに寄り添う色を、と各社は研究を怠りません。ブラックはもちろん、ドイツのミーレは2016年に、オーブンなど壁面に組み込む調理機器のシリーズで「グラファイトグレー」という扉の色を開発し、話題を呼びました。キッチンの色として今や大人気のブラックやグレイッシュなキッチンデザインのブームを予測しての開発でした。

ビルトイン家電のメリットはインテリア面だけではありません。

ビルトイン家電はオーブンも食器洗い機もIHクッキングヒーターもランドリーも間口60cmサイズが一般的です。そんなわずかなスペースで様々な家事がこなせます。

ビルトインオーブンがインテリアに溶け込んでいる様子 IHクッキングヒーターと収納スペースの様子
[Falper /italia Small Living Kithcnes] スペースに限りがある時こそ、ビルトイン家電はその能力を存分に発揮します。

とっても省スペースで動線も短い。そしてインテリアとしてもキッチン空間がすっきりとまとまります。

これがインテリアキッチンにこそ、ビルトイン家電を、と私がお勧めする理由です。

ビルトインオーブンがインテリアに溶け込んでいる様子
[Falper /italia Small Living Kithcnes] シンクが両側から使えて、IHはわずか1口。機能を削ぎ落としていますが、逆に使いやすそう!と思える理由を考えてみましょう。

一方で置き型の家電のように動かせないからこそ、キッチンをプランする時は、よく考えなければなりません。

オーブンと調理スペースの距離は適切か。オーブンは目の高さで料理の様子が見られるか。食器洗い機は食器を棚に戻しやすい位置になっているか。調理スペースを確保したサイズのIHクッキングヒーターを選んでいるか。コンロやIHの口数は足りなくないか。最初によくよく計画します。

オープンシェルフや中の見えるガラス扉のキャビネットを駆使したキッチンの様子
[ARAN Cucine /italy SCACCO MATTO] オープンシェルフや中の見えるガラス扉のキャビネットを駆使したキッチン。収納や動線を考えるのって意外と楽しいですよ。

それはちょっと大変なように思えるかもしれません。けれどもキッチンづくりの時に、料理の動線を整理しておけば、あとは毎日、何も考えなくても、流れるように家事や料理ができるのです。

オーブンのトレイに食材を並べ、振り向いたらそこにはオーブン。さっと料理を済ませられます。スープなどの煮込み料理や肉や魚のグリル、スチーム野菜、鍋炊きご飯など複数の同時調理もできます。

2列型キッチンのサイドにオーブンをビルトインしている様子
[ARAN Cucine /italy SCACCO MATTO]このキッチンでは2列型キッチンのサイドにオーブンをビルトイン。

食器洗い機からは大きなお鍋やボウル、ピカピカのワイングラスが出てきます。後片付けを食器洗い機が手伝ってくれると思うと、料理もひと手間かけたくなります。手料理がより美味しくなります。

IHクッキングヒーターは繊細な温度調整ができ、柔らかなオムレツも長時間の弱火の煮込みも得意。さっと野菜を炒めたい時も、簡単な操作でブースト加熱。直感的に使いこなせるタッチパネル式が主流です。

またランドリーをキッチンキャビネットやカウンター下にビルトインする人も少なくありません。ドラム式の洗濯機や乾燥機をキッチンスペースやパントリーにビルトインすれば、料理をしながら洗濯も同時進行できます。

ミーレ洗濯機と乾燥機のイメージ写真

余談ですがドイツ人の長いバケーションは有名ですが、彼らはそんなビルトイン家電の力を借りて、日々の細かな時間の無駄を省き、仕事や家事を効率的に進めて、休暇のための時間を生み出すのです。

リノベーションや家づくりの時こそ、キッチンをアップグレードし、インテリアキッチンを実現するチャンスです。これは手軽に買える家電に比べて敷居が高く感じるかもしれませんが、家族の暮らしに向き合ってきちんと備えたビルトイン家電は10年、20年と日々の幸福感を高めてくれます。

ドレスアップと名付けられたキッチンの写真
[CESAR /Italia DRESSUP LINE] ドレスアップと名付けられたキッチン。キッチンづくりは考えることがたくさんある。でもそれは大変なことではなくて、楽しいことのはず。そんなメッセージを感じます。

ビルトイン家電はキッチンや家づくりが始まる前からショールームなどで下見して、自分にどんなものが適しているか。考えるのに早すぎることはありません。

みなさんに諦めないでほしいのは、やはり最初のアクションです。ビルトイン家電はやはり工事を伴います。さらに200V配線で電気容量をしっかりと電力を確保してこそ、効果を発揮します。

そしてキッチンキャビネットのどの位置に組み込むか。どの機種が自分に合っているか。事前に考えることがいっぱいあります。そしてその「考えること」を楽しんでください。

プロ用と家庭用の中間のような本格的なインテリアキッチンの写真
[Arclinea /Italia ITALIA] プロの料理人でも十分に使いこなせる。プロ用と家庭用の中間のような本格的なインテリアキッチンもあります。ミーレのビルトイン家電はそんなタフな用途に応えるものもあります。

値段が高い機種にはそれなりの理由があります。一番安い機種でいい。そんなふうに思わずに、少し頑張って考えてみて下さい。今は様々な機能があり、スマートフォンのアプリのように慣れてみると、想像以上に便利な機能が備わっています。それが毎日の暮らしを助けてくれる機能なら、長い目で見ればお買い得だと思います。

ミーレのビルトイン家電は、暮らしのコンシェルジュ並みに進化しています。これは常に技術的な進化を忘れない、このブランドの大きな特徴でしょう。

ラフな木目の扉に縦横のハンドルが印象的なキッチンの写真
[ARAN Cucine /italy GUADALUPE]ラフな木目の扉に縦横のハンドルが印象的なキッチン。なんと言ってもマーブル柄の背面パネルがドラマチックなインテリアキッチンです。黒のビルトインオーブンはあえて空間のアクセントに。

例えばミーレのビルトインオーブンには、庫内にカメラがついていて料理が仕上がる様子を画像でスマホに送信してくれる機能があります。キッチンと居室が違う階にあっても、料理の仕上がりを手元で確認できます。またタイマー機能も充実していて、食材をセットして外出し、帰宅したら料理が出来上がっている。そんな使い方もできます。

ワークテーブルのようなキッチンにビルトインオーブンがハンギングされている様子
[TRUE /italy wingkitchen] ワークテーブルのようなキッチンにビルトインオーブンがハンギングされています!海外の考え方はとっても自由ですね。子どもたちが喜んで集まってきそうなキッチンです。

遊びに行ってなかなか帰ってこない子どもたちのスマートフォンに、ケーキが焼き上がる様子の画像を送ってあげたら、喜んで飛んで帰ってくるかもしれませんね。インテリアキッチンなら、そんな時、キッチンの前に素敵なテーブルがあって、焼きたてのケーキやパンが並んでいる。そんなシーンを想像してみて下さい。

スマホでの操作画面イメージ写真

ミーレの食器洗い機やランドリーは洗剤が自動投入できる機種もあります。また毎日同じ時間にタイマーをセットしたり、スマホでスイッチのオンオフ操作もできます。食器を収めたまま、スイッチを入れ忘れて職場に向かってしまった、なんて時も大丈夫です。さらに食器洗い機は大型なので花瓶や哺乳瓶、大きな鍋など手で洗いにくいものも入ります。

ランドリー機器はスポーツウェアやウールなど生地別に洗い分けることができるので、クリーニング代も浮くかもしれません。リフレッシュ機能など、洗うほどではない衣類のニオイと湿気だけを取るなど、いろんな使い方ができることに驚きます。

広いキッチンの様子
[BINOVA /Italy BLUNA] 壁の大きな収納からキッチンが突き出て、テーブルも兼ねるルームスタイルのインテリアキッチン。こんな大きなキッチンならビルトイン家電もアプリ操作が必須になりますね。

また大半の機種はミーレオリジナルのアプリでスマホから連動して操作ができます。最近のミーレのビルトイン家電を見ていると、機能は流れるように直感的に繋がっています。
単なる一つの家電として選ぶのではなく、キッチンからランドリーまで連動した「暮らしのオペレーションシステム」として考えたい。そんな風に私には思えるのです。

ミーレのビルトイン家電のイメージ写真 スマホアプリの操作をしている様子のイメージ写真

インテリアキッチンのはじまりは、自分らしさ、家族の暮らしを分析し、自分の好きな空間、インテリアの中に落とし込むこと。最初にそうお伝えしました。ミーレのビルトイン家電はさらにキッチンやランドリーという空間を越えて、家全体に人の暮らしを助けるパワーを取り込むことかもしれません。

【コラムの中の写真は本間美紀がミラノサローネ国際家具見本市のこの数年の「ユーロクチーナ」で取材したキッチンを紹介しています】

本間さんプロフィール写真

本間 美紀 / MIKI HOMMA
KITCHEN&INTERIOR JOURNALIST

本間 美紀 / MIKI HOMMA
KITCHEN&INTERIOR JOURNALIST

キッチン&インテリアジャーナリスト。早稲田大学第一文学部卒業後、インテリアの専門誌「室内」を経て、独立後はインテリアから考えるキッチン、国内外の家具、インテリア、デザイン、ライフスタイルなどを取材。編集執筆、セミナー、企業のコミュニケーション支援などで活動中。ミラノサローネ国際家具見本市、メッセフランクフルト、アルタガンマ財団など世界のインテリア見本市や本社から招聘され、イタリア、ドイツ、北欧など海外取材も多数。日本でのハイエンド住宅の取材も多く、ユーザーインタビューの質でも定評がある。多方面からの取材で発見する「リアルな言葉」でインテリアの世界をわかりやすく表現している。著書に「リアルキッチン&インテリア」「人生を変えるインテリアキッチン」「リアルリビング&インテリア」(小学館)など。
リアルキッチン&インテリア ウェブサイト
https://realkitchen-interior.com

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