CO2を減らして生物多様性を高める、Mieleのリジェネラティブコーヒープロジェクト
2024.06.04

CO2を減らして生物多様性を高める、Mieleのリジェネラティブコーヒープロジェクト

単一栽培でコーヒーを栽培し続けると、2050年までにコーヒーが枯渇する可能性があることをご存知でしょうか。MieleはreNature社とともにブラジルにおいて、気候への負荷を軽減しコーヒー生産者を支援するリジェネラティブコーヒープロジェクトを開始しました。これによりMieleは、CO2削減と生物多様性の向上に向けて新たな戦略的ステップを踏み出します。
(※本記事は、ドイツにて2023年8月2日に配信されたプレスリリースを元に記事化しています。)

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サステナブル(持続可能)コーヒー栽培の支援へ
Miele と reNature によるリジェネラティブコーヒープロジェクト

土壌は、国連が設定した1.5°C目標を達成する上で、炭素吸収源として重要な役割を担っています。しかし、単一栽培(数年間にわたって1種類の作物しか栽培しない農法)が原因で、世界中で土壌の質が低下しています。それに対し、リジェネラティブ農業(環境再生型農業)は、生物多様性の維持、生態系の回復、土壌の健康の改善に役立ちます。
Mieleは、コーヒーと全自動コーヒーマシンのサプライヤーとして、ブラジルでの持続可能なコーヒー栽培の開始に向けて、具体的な話し合いを進めています。すでにサプライヤーを通じてオーガニックフェアトレードコーヒーを調達していますが、今回の動きにより、さらなるCO2削減と生物多様性の向上に向けて、新たな戦略的ステップを踏み出します。

ミーレはブラジルでreNature社と共同でリジェネラティブコーヒープロジェクトを開始。ミナスジェライス州の農園で作業中のトラクター

気候への負担を軽減する栽培方法により
地元のコーヒー生産者を支援

Mieleは、2018年にアムステルダムで設立されたスタートアップのreNature社、およびブラジルを拠点とするプロジェクトグループのFlowinsと共に、ブラジルのミナスジェライス州サンタナ・ダ・ヴァルジェンでの約2ヘクタールのモデル農場の設立を支援しています。目的は、コーヒーの品質を高め、汚染された土壌を回復し、土壌にCO2を結合させることで気候への負担を軽減する栽培方法により地元のコーヒー生産者を支援することです。第1段階として、Mieleは数万ユーロを投資しました。2023年末のテストフェーズの成功を受けて、さらなる資金投資を計画しています。

Miele 人事およびサステナビリティを含むコーポレート業務担当
エグゼクティブディレクター Rebecca Steinhage(レベッカ・シュタインハーゲ):
「このプロジェクトでは、経済的で環境に優しいコーヒー栽培から地元住民の皆さんが明るい展望を描けるようにしたいと考えています」

reNature社 CIO Felipe Villela(フェリペ・ヴィレラ)氏:
「単一栽培でコーヒーを栽培し続けると、2050年までにコーヒーが枯渇する可能性があることをご存知でしょうか。リジェネラティブアグロフォレストリー(森林農法)コーヒーを栽培することで、土壌の健康、生物多様性、炭素循環を回復すると同時に、生産者の収入と生計を改善することができます。reNatureとMieleのパートナーシップは、コーヒーの未来を変えるでしょう。さあ再生しましょう」

reNature社 シニアプロジェクトマネージャー Emily Franklin(エミリー・フランクリン)氏:
「私たちはチームとして、Flowins農場でリジェネラティブ農法とシントロピック農法の原理を取り入れた素晴らしいデザインの実現に成功しました。このモデル農場は、地元生産者がこれらの農法を各自の農場に取り入れるのに必要な知識とツールを身に付けるための能力開発セッションの場となる予定です。この学習プラットフォームは、Flowinsの広大な生産者ネットワークと相まって、この知識を拡大し、真のインパクトを生み出すのに理想的な基盤となります」

ミーレはブラジルでreNature社と共同でリジェネラティブコーヒープロジェクトを開始。農園に植える前のコーヒーの苗木

リジェネラティブコーヒー栽培の拡大

FlowinsチームはreNature社と協力して、土壌微生物を保護するだけでなく、地元住民に確実な収入源を提供する再現可能なコーヒー栽培法の開発を進めています。リジェネラティブ農法のパイロットフェーズの後、地元の生産パートナーをできる限り多く巻き込むために、モデルスクールに結果は伝達する予定です。
Flowins農場は総面積80ヘクタールで、約半分がコーヒー農園で構成されています。ブラジル東部に位置するFlowinsコミュニティ全体は、はるかに大規模です。総面積は約5,900ヘクタールで、そのうちの2,800ヘクタールがコーヒー栽培に使用されています。全体では5,000トン以上のグリーンコーヒーの生産能力があります。これは、60 kg入りのコーヒー袋約8万4,000袋に相当し、ドイツの約100万人の消費者の年間消費量に相当します。「当社の戦略的考慮は、ほぼすべてが自社の生産で賄われると同時に、当社の厳格な品質と持続可能性の基準を満たしたコーヒーをお客様に提供できることです」と、Mieleのアクセサリーおよび消耗品担当バイスプレジデントであるDirk Schübel(ダーク・シューベル)は述べています。Mieleは、すでにフェアトレード認証とオーガニック認証の両方を取得済みのサプライヤーからコーヒーを購入しています。

目線の高さでのナレッジ移転

共同プロジェクトのもう1つの目標はナレッジの相互移転です。Miele、reNature、Flowinsは、土壌の質とコーヒーの品質の間の生態学的に価値のある相互作用を実証し、地元のコーヒー生産者に伝えます。この目的のため、Flowinsは広範な生産者ネットワークを活用して、コミュニティにおけるリジェネラティブ農法への関心を高め、地域全体への普及を図るつもりです。また、リジェネラティブアグロフォレストリー(森林農法)コーヒー栽培の導入から農業経営、マーケティングまでのナレッジは、地域社会の次世代の人々のための重要な基盤にもなります。

CO2削減への重要な貢献

このプロジェクトにはもう1つの重要な利点があります。現在、Mieleはスコープ1および2で避けられないCO2排出量を相殺するために、公開市場で一定数のCO2証明書を購入しています。ブラジルにおけるMieleのエコロジカルな取り組みは、長期的には公開市場で購入しなければならない証明書が次第に減り、自社の資源から生み出されるようになることを意味します。

リジェネラティブ農業と本プロジェクトの6つの柱

リジェネラティブ農業は、土壌肥沃度の改善と生態系の再生を最優先する原則と農法の体系で、自然体系の全体性と複雑性を考慮します。その農法は自然と協力して行われます。さらに、生産者が自らの観察と分析を取り戻すことができ、より大きな自信につながります。このプロジェクトは、リジェネラティブ農業への移行という目標達成のために、次の6つを柱としています。

  • 土壌の健康と肥沃度(土壌有機物の改良、土壌の多量/微量栄養素および生物学的特質の向上、生産性の向上、より健康で肥沃な土壌の達成による生産性と回復力のある生態系の支援)
  • 生物多様性(動植物の多様性の向上、生態系のバランス改善、害虫や病気に対する耐性の向上)
  • (水へのアクセスの向上、水関連生態系の保護)
  • 経済的インパクト(収益性、生産性、気候変動の緩和/適応、多様化、雇用への影響)
  • ソーシャルインパクト(労働条件の改善)
  • 炭素隔離(CO2および温室効果ガス排出量の削減、土壌有機炭素)

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